通信速度は両者ほぼ互角

自宅内や事務所など、特定の屋内で高速通信が手軽に楽しめるようになった現在、その舞台を屋外へと移す形で様々な通信サービスが各社から提供されるようになりました。そして、数ある移動体通信サービスの中でも特に今最も注目されているのが、WiMAXとLTEという2つの規格です。

これら2つの規格は、どちらもモバイル利用を想定した無線型通信技術で、特にスマートフォンやタブレット端末などモバイル機器が充実した現在の主力としても注目されている通信技術といえます。LTEとWiMAXは、その似通った活用事例や利用環境などからしばしばライバルとして比較されることが多いのですが、様々な比較の中でも特に多くの方に関連するポイントとなるのが、通信速度の問題についてです。

LTEとWiMAXは、技術革新によって時代を追う毎にその通信速度の上限を高め続けています。現在LTEは4Gとも呼称される最新型の通信技術が導入されており、その最高通信速度は理論値で下り150Mbpsが基本とされています。一方、WiMAXの場合、最高の通信速度は理論値で下り110Mbpsと、こちらもLTEと遜色ない上限速度を維持しています。

また、新たな技術としてWiMAXとLTE双方でキャリアアグリーゲーションというサービスが開始されており、これは複数の電波を1つに束ねて一度に送受信を行うことで、その最高速度を2倍から4倍にまで高めることが可能となりました。ただし、ここで1つ注意しておきたいのが、LTEとWiMAX、2つの通信技術の電波特性についてです。

LTEとWiMAXは、同じ無線電波を活用した通信技術である一方で電波の種類の違いを表す周波数に若干の違いがあります。LTEは800MHzから2GHzまでの周波数帯を広く活用している一方、WiMAXは更に高周波な帯域を使用していることから、電波の柔軟性に違いがあり、この電波の柔軟性は密度の高いエリアでの伝送能力に大きく影響を及ぼします。

LTEは、電波自体の強度は弱いながらも特に都市部など込み入ったエリアでも安定した通信速度が維持できる一方、WiMAXはその電波の強さから郊外など開けた場所でその実力がいかんなく発揮される特徴があるなど、使用環境に合わせてベストな選択をユーザー自らが行う必要があります。

料金プランと実質価格はWiMAXが優勢

LTEとWiMAXという2つの通信サービスが競合する中、比較対象として多くの方が必ず検討されるポイントに当たるのが、料金についてです。当然ながら、2つのサービス共に、実際に利用するためにはプロバイダや事業者との間で利用に関する契約を結んだ上での利用が前提となり、契約時に選択した料金プランや契約内容に応じて所定の料金を支払う必要があります。

現在のところ、LTEとWiMAXの2つの通信サービスで導入されている料金の内訳を見てみると、特に料金プランの分かりやすさではWiMAXが圧勝となっています。

LTEを提供している大手携帯キャリアを中心に、データ容量の違いや特定期間内に於けるデータ通信量に応じた容量制限の上限などに応じて様々な内容のプランが複数提供されており、携帯電話の料金プランやその詳細に慣れている人以外には、なかなか理解しづらい難しい内容となっているのが実状です。

一方、WiMAXの場合は単純明快で、WiMAXサービスを提供しているプロバイダは複数あれど、その全てのプロバイダで提供されている料金プランの内容はほぼ一律の1種類から2種類の内容で推移しています。プロバイダ間で若干の料金の違いはありますが、データ通信上限も各社共通化されているので、どのプロバイダを選んでも特徴が少ない一方で、間違った選択をしづらいという点もWiMAXならではの魅力です。

また、実際にかかる月額料金を基本とした利用量についても、LTEでは固定制を導入しながらも容量制限など様々な制限を設けているほか、使い放題ながらも料金は従量制となっているプランもあり、利用環境によって実際の料金に大きく違いが現れます。

一方、WiMAXの場合は、4G通信など極一部のオプションサービスを除き、基本的なサービスに関する実際の料金もほぼ固定化されているので、どれだけ使っても毎月の利用量はほぼ一律で推移している点が魅力です。

通信エリアの広さ

エリアの広さ自体はLTEに若干の分があり

モバイル通信サービスを選ぶ際に必ずおさえておきたいポイントの1つに当たるのが、通信可能エリアについてです。光通信やADSLなど屋内での利用を想定した通信サービスとは違い、モバイル通信サービスでは、常に場所を移動しながら利用するのが基本的なスタイルであることから、場所を問わず常に安定した通信が実現できるかどうかが重要な点に当たります。

LTEとWiMAX、この2つのモバイル通信サービスを比較した結果、利用可能エリアの広さでは、LTEに若干の分があると言えるでしょう。この理由として、LTEをカバーする基地局の数が挙げられます。モバイル通信サービスでは、山間部やビルの屋上部分など高度の高い場所に電波を送受信するアンテナが設置されており、このアンテナが近くにあることによって初めて、モバイル通信が実現されます。

WiMAXと比べLTEは、そのサービスを提供しているキャリアや事業者の数自体が多いこと、利用契約者の多さからニーズが高くその分だけ各地でアンテナの設置が急ピッチで行われている事などから、山間部など僻地と呼ばれる環境でも活用できるなど、その利用環境の柔軟さが魅力となっていますが、場所によっては電波が到達していても通信速度自体が安定していないなど、利用環境に応じて回線品質が上下しやすいというデメリットもあります。

都市部や郊外で最高速度を安定して弾き出すWiMAX

一方、WiMAXも日本国内の様々なエリアで広く活用できますが、その電波特性や利用者数がLTEと比べてやや少ないことなどから、都市部や郊外などに集中してアンテナが設置されている為、山間部や僻地など人口密度があまり高くないエリアではアンテナが設置されておらず、電波が掴めないエリアがLTEと比べると多いのが実状です。

反面、都市部や郊外部など人口密度が比較的高いエリアを中心に、LTEを上回る数のアンテナが密集する形で設置されていることから、利用可能エリア内であれば、LTEではなかなか困難であった、最高速度に近い速度を安定して弾き出せる点が、WiMAXならではの強みになっています。

これらの点からも、LTEは様々なエリアで通信ができるサービスとして、一方WiMAXは都市部や郊外などで高速な通信が安定して行えるサービスとして、それぞれの特徴を活かしていることが窺えます。

ニーズに合わせた選択がベストバイ

今話題のWiMAXとLTE、2つのモバイル通信サービスのそれぞれの特徴やメリットデメリットについてご紹介しました。この2つの通信サービス、実際のところはどちらがベストバイといえるのか?それは、実際にサービスを契約して利用される各ユーザーの利用環境やニーズによって違いがあるというのが実状のようです。

例えば、LTEには広い利用可能エリアやMVNOなどの事業者の充実度という大きなアドバンテージが存在する一方で、データ容量の少なさや容量制限の厳しさなど、特にヘビーユーザーと呼ばれるユーザーにとってはやや使いづらいデメリットも数多く内在しています。

LTEと対極を成す形で提供されているWiMAXには、利用可能エリアがLTEと比べると若干狭い事や電波の伝達が難しい屋内深部など特定のエリアで電波が掴みづらいというデメリットが指摘される一方で、常にLTEを上回る高速な通信が可能であることや、データ容量とその制限の上限がほぼ皆無であることなど、実際の使い勝手の面ではLTEを大きく凌駕する魅力を備えています。

これら2つの通信サービスが持つメリットやデメリットとそれぞれの特徴をしっかりと把握した上で、利用環境や実際に利用するタイミングなどに併せたサービスを選ぶのが、まさにベストバイな選択となるでしょう。