工事が一切不要で高速通信を実現可能
WiMAXといえば、Wi-Fiなどいわゆる無線通信を活用した最新の通信技術の一種で、携帯電話各社や今話題のMVNOが提供するLTEサービスと共に双璧をなす存在としても知られています。このWiMAXに備わる大きなメリットの1つとなるのが、工事不要で高速データ通信が実現できるという手軽さです。
高速な通信速度を維持しつつ容量制限やデータ容量を気にすること無く通信可能なサービスとしては、光やADSL、ケーブルTVネットなどいわゆる有線と呼ばれる通信サービスがこれまでは一般的でした。ところが、居住環境や地域によっては、これら有線の高速データ通信網が敷設されていないエリアがあり、特に地方部や山間部、郊外など都心エリアから離れた地域ほど、この問題が顕著に発生しています。
こうしたエリアでは、LTEやWiMAXなど無線通信を活用したインターネット通信網が不可欠といえ、実際にWiMAXの通信網も地方を中心に広く分布する形で既に敷設されています。また、光回線など有線型の通信網を利用する場合、古い住宅などでは別途専用の宅内工事を実施する必要があり、必要ながらも他人を自宅に招きたくないという方や、工事自体に掛かる手間やコストを気にする方も少なくありません。
こうした、通信網を実際に利用する際に必要となるコストや手間、様々な諸事情を一切考慮する必要なく、WiMAXは契約直後から直ちに高速データ通信を利用する事ができます。スマートフォンや携帯電話で採用されているLTEと比べても高速な通信が実現でき、また固定タイプと移動タイプ両方の使い方が一度にできる手軽さも、WiMAXならではのメリットです。
通信制限を気にすること無く使える利便性
WiMAXを実際に契約している方の多くがこの回線を選択している理由として挙げているのが、データ通信の制限がほぼ皆無であるという点です。スマートフォンに代表される携帯電話会社提供のLTE回線では、回線の占有や独占を防ぐ目的から、利用者1人当たりに対して1日当たり、或いは特定期間に応じてデータ容量や通信量の制限を実施しています。
また、同じくLTEで設けられている3GBや5GB、7GBなどデータ容量を活用した容量制限もWiMAXでは原則設けられておらず、連日多量のデータ容量をネットで利用しているという方ほど、制限を気にすること無く利用できるメリットが得られます。
WiMAX自体も、容量制限が全く設けられていないというわけではなく3日間10GBという容量制限を設けていますが、無線通信でかつ3日間で10GBもの容量を一気に利用する事自体が一般的ではないことから実質、制限を特に気にすること無く利用できるほか、WiMAXの制限自体が夕方から深夜に限定されていること、制限後の通信速度もLTEの制限時と比べると遙かに高速に設定されているなど、使い勝手の面でも遙かに優れています。
新規契約時での特典内容が充実
WiMAXサービスを実際に利用するためには、WiMAXサービスを提供しているプロバイダ「UQコミュニケーションズ」との直接契約が最も一般的です。ただし、WiMAXという通信サービス自体は、UQコミュニケーションズだけに限らず、様々な事業者がWiMAXプロバイダとしてサービスを提供しており、利用者はこれら複数のプロバイダから自由に1社を選んで契約可能です。
また、プロバイダ毎に同じくWiMAX回線を活用した通信サービスを提供していながらも各社間で自由競争がおこなわれていることから、実際に契約するプロバイダによって、様々な特典やキャンペーンが随時実施されており、こうしたキャンペーンや特典の内容を吟味した上で自由に選べる点も、WiMAXならではの利点の1つに挙げられます。
例えば、あるWiMAXプロバイダでは、新規で契約する契約者に対して、最大で3万円を超えるキャッシュバックを実施しているほか、WiMAXの通信端末であるモバイルルーターのオプション品を無料で提供していたり、契約初月の料金プランが格安となったり、料金プランで設定されている月額基本料が特定期間分だけ無料になるなど、様々な特典を提供しています。
キャッシュバックの金額や特典内容自体もプロバイダによって大きく違いがあるほか、時期によって特典内容の充実度にも違いがあるなど、タイミングを狙って更にお得な契約を獲得できる可能性もあります。
WiMAXに備わるデメリット
WiMAXは、LTEなどと同様に無線通信の一規格であることから、無線通信特有のデメリットが少なからず存在しています。
中でも、最も大きなWiMAX特有のデメリットとなるのが、WiMAX電波の強度についてです。同じく無線通信技術であるLTEと比べ、電波の周波数の違いからWiMAXの電波は比較的弱いといわれています。電波の周波数が高く強度がやや低いことから、特に都市部など、ビルや建物が林立しているようなエリアほど、受信感度が低くなってしまう傾向がある点に注意しなくてはいけません。
この理由として、電波は本来、周波数が低いほど柔軟性がある反面、周波数が高くなるほど電波自体の柔軟性が低くなり直線移動が中心になりますが、この直線移動中心の電波はビルや建物の間のような不規則な空間を縫うように伝播しづらく、結果として建物の壁にぶつかって減衰してしまいます。
WiMAXは、LTEと比べると周波数が高い為、高速通信が容易に実現できる一方、こうした柔軟性の低さが欠点と言われており、特に都市部の建物内などの利用が中心となる場合には、あらかじめ確認しておきましょう。
WiMAX専用の通信機器が必須
WiMAXが持つデメリットの1つに、通信機器が限定されてしまうというものがあります。例えば、今話題のMVNOに代表されるLTEの場合、SIMという特定規格のICカードを活用することで、LTEに対応したスマートフォンやタブレット、ノートPCなど様々な機器で使い回すことが可能です。
一方、WiMAXの場合はLTEと違い、WiMAXの電波周波数に対応した専用機器を使った認証を行う必要があるため、原則専用機器による通信しか行う事ができません。このことから、現在人気の格安スマホなどを使って直接WiMAXの通信網を利用するといった使い方はできず、スマホを一度WiMAX専用のモバイルルーターなど通信機器に接続認証した上で通信を行うという手間を経る必要があります。
また、WiMAXの専用通信機器は市販されておらず、基本的にWiMAXサービスを提供している各プロバイダと回線契約を結ぶ段階で専用機器の購入か貸与を受けなくてはいけません。
高速移動にやや弱み
WiMAXを実際に利用されている方の中には、自宅では固定回線代わりに使用し、仕事や学校へと出かける際の外出時にはモバイルルーターとして活用されているという方も多いのではないでしょうか。確かに、WiMAXではモバイルルーターのような移動時にも使用できるタイプの通信機器が中心となっており、場所を問わず手軽に高速通信が実現できます。
一方、WiMAXの電波はLTEなどと比べ周波数が高いことから、電波自体の強度は決して強くありません。そして、電波の強度が強くないということは、高速移動時の受信感度にも強く影響してしまいます。例えば、新幹線に乗車していたり高速道路を時速100kmなどの高速で移動している場合、LTEと比べてWiMAXは電波の掴みがやや弱くなってしまいます。
すぐに通信が切れてしまうというわけではないのですが、電波の掴みが弱くなってしまうと言う事は、通信速度が一時的に低下してしまったり、ストリーミング動画など常に通信を必要とするサービスを利用している場合、一時的に動画の再生が中断したり再読込の状態が発生してしまうなどの影響が考えられます。